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徳本寺見学記

2025年6月26日、NHK大河ドラマ「べらぼう」の舞台としても知られる徳本寺を、総勢9名で訪問しました。

 

当日は白尾元理住職(上野高校23期卒)ご本人の丁寧なご案内のもと、徳本寺の歴史や由緒について詳しく学ぶことができました。徳本寺は浄土真宗系の単立寺院で、創建は明応元年(1491年)、開山は円寿上人によるものです。もともとは三河国に位置していましたが、徳川家康の家臣・本多正信の招きにより、天正19年(1591年)に江戸神田へ移転。その後、明暦の大火(1657年)を経て、現在の台東区西浅草に移されたとのことでした。

 

境内には、田沼意知(老中・田沼意次の嫡男)に江戸城内で刃傷に及び切腹を命じられた、佐野政言(通称善左衛門)の墓所があります。田沼家に対して反感を抱いていた江戸庶民からは、「世直し大明神」として崇敬を集めたとのこと。また、すぐ隣には江戸後期の画家・宋紫石の墓所もあり、徳本寺には南蘋派の写実画を伝える貴重な美術品が多数収蔵されています。今回はご住職の解説とともにじっくりと鑑賞させていただきました。

 

田沼意次が失脚するきっかけとなった天明浅間山の噴火についての話題では、実はその後の大飢饉には遠く離れたアイスランドの火山活動のほうが、大きく影響していたという興味深い科学的側面が紹介され、歴史と自然災害とのつながりに参加者一同、認識を新たにいたしました。実はご住職は現役時代地学部所属で、ご専門は火山地質学(東北大理学部から東大院)なので、火山噴火と寒冷現象・飢饉などの関連について専門的見地から解説いただけました。

 

訪問の最後には、全員で記念撮影を行い、和やかな雰囲気のなかでひとときを過ごすことができました。なお、徳本寺の跡継ぎであるご子息も、同窓生だったことが判明し、思いがけない縁に一同感慨深く、交流も一層深まりました。

 

見学後は、浅草一丁目一番一号「神谷バー」に場所を移して懇親会を開催。ご住職も遅れて参加され、お寺訪問の感想や、上野高校の昔話などが尽きることなく続きました。参加者同士のよい交流のひとときとなり、充実した時間となりました。

 

最後になりましたが、ご住職をはじめ参加された皆様に、感謝申し上げます。ご感想やご意見などございましたら、コメント欄によろしくお願いいたします。

 

24期・東叡会企画部 井上芳郎

徳本寺本堂(白尾住職とご子息)
徳本寺本堂(白尾住職とご子息)
佐野善左衛門墓所
佐野善左衛門墓所
刃傷事件を伝承する錦絵(明治時代初期)
刃傷事件を伝承する錦絵(明治時代初期)
参加者記念写真・ご住職とともに
参加者記念写真・ご住職とともに
懇親会会場
懇親会会場